第13章

「樋口浅子さん、下川警察署からまいりました」制服を着た男性警官が病室のドアをノックした。

「取り調べにご協力いただきたく、署までお願いします」もう一人の女性警官が厳しい表情で付け加えた。

樋口浅子は一瞬、茫然としていた。

「どうしてですか?私は被害者のはずです。藤原美佳を調べるべきではないですか?」彼女は理解できずに警察官を見つめた。

「あなたが故意に他人を傷つけた疑いがあります」男性警官の言葉は冷たく、鋭い眼差しを向けていた。

「馬鹿な!私を階段から突き落としたのに、どうして私が故意に人を傷つけたことになるんですか?」樋口浅子は怒りを込めて反論した。

「申し訳ありませんが樋口さ...

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